アテネからデルフィへ
6:00 — 今日からアテネを離れてデルフィに移動しようというのに、外は嵐みたいな天気。早起きしたのになぁ……。ちょっと宿で時間を潰して、8時頃、ようやく風が落ち着いてきたのでチェックアウトしようとすると、受付の横で宿のおじさんが椅子に腰掛けたまま、うなだれて寝ていた。申し訳ないけど声をかけて、チェックアウトする。今日のおじさんは、いつもの「カブ」のおじさんじゃなくて、紳士的な人だった。
昨日調べておいたバス停へ向かう途中、クルーリ屋台を発見! 朝ごはんのクルーリ(Koulouri)を買った(0.30€)。「アフト パラカロー(これください)」など、少しだけギリシャ語にチャレンジした。
それにしても今日は異常に寒い! 暖かい飲み物が欲しくて、コーヒーショップに入ってカプチーノを買うと、1.90€。高っ! せっかくクルーリが安かったのに。カプチーノって万国共通で高いんだわ。
さて、バス停へ向かう途中のペリープテロ(キオスクみたいなところ)でバスの乗車券を0.45€で買って、『地球の歩き方』に載っているバス停で待つこと10分。バス停に無造作に貼ってある、走り書きのようなギリシャ語の貼り紙になんとなくイヤ~~な予感がする。
もう少し待ってから誰かに聞こうと思っていると、バス停にやってきたおばあちゃんからギリシャ語で声をかけられた。一生懸命説明してくれているのだけど、さっぱり言葉がわからない。
身振りから察するに、たぶん「バスは手を横に挙げて合図しないと停まらないのよ。私がお手本を見せてあげるから見てなさい」と言われているように思う。バスが通りかかって、おばあちゃんが片手を水平に挙げるとバスが停まった。
停まったバスの行き先番号が私の乗りたいバスと違ったので、乗り込んで運転手さんに聞いてみると、最近乗り場が変わったらしい。「その角を曲がって50mくらい先だよ。024番だから」と教えてくれた。
教えてもらったバス停で待っていると、間もなく024番のバスがやってきた。ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク似の運転手のお兄さんに「リオシオン・ターミナルに行きたい」と言うが、通じない。実は昨日もバスのチケット売り場で聞いてみたんだけど、通じなかった。「Liossion」の発音が違うみたい。
仕方ないので、こんなこともあろうかと準備しておいた必殺プラカード(メモ帳に大きくギリシャ語で「リオシオン・ターミナル」と書いたもの)を見せた。
「ここに行きたいの? 乗りなよ」
やっと通じた(笑)。
バスの中はアナウンスが一切ナシ。“そのあたり”にやってきたら、手すりについているボタンを押してバスを降りるという仕組みなんだけど、“そのあたり”がわからない旅行者なので、運転手のお兄さんに「着いたら教えて」とお願いして、一番前の席に座った。
ターミナルっぽい場所を通りかかったとき、運転手のお兄さんがバックミラー越しに絶妙な目配せをしたので、”Thanks!”と言って席を立とうとすると、「まだだよ!」と言われた。紛らわしいことしないで、ジェームズ。
運転手のお兄さんが親切に「次だから」と教えてくれたので、無事にリオシオン・ターミナルにたどり着けた。ターミナル? バスの収納庫なんじゃ……? って感じの場所だった。


長距離バスで移動
ターミナルの中に入って、デルフィ行きのチケットを11.80€で買った。リオシオン・ターミナルは長距離バスが出ているターミナルで、待合室には大きな荷物を持った人がたくさん座っていた。
私もそこに座ってバスの到着を待っていると、6~7歳くらいの男の子が私の膝の上に紙切れを置いていった。他の客にも同じように紙を配り終えた男の子が戻ってきて、私の顔をうかがう。
紙にはギリシャ語で何か書かれていた。私には読めないけど、たぶん「お金ちょうだい」だろう。私は「NO」と言って、他の客がしているように、紙を床に捨てた。男の子は、同じ年頃の子供とは思えないほど深刻な顔をして、いなくなった。
こういう時、お金をあげるかどうかは人それぞれだけど、何かを感じて考えることは大事な事だと思う。
10:30 — デルフィ行きのバスがターミナルに入ってきた。バックパックをバスの下に載せて、バスに乗り込む。長距離バスは全席指定。自分の席がわからなくてうろうろしていると、ガタイの良いお兄さんがチケットを見て、席を教えてくれた。
隣の席になったマダムと話をすると、彼女はデルフィで宿を経営しているという。「よかったらおいでよ」と誘われたけど、何気なくガイドブックを見たらBクラスのホテルだったので諦めた。
山がちな道を3時間ちょっとかけてバスは進む。車内には、ラジオから少し古く感じるような曲が流れてきた。高橋真梨子の『駅』をアップテンポにしたような歌だ。
出発して2時間経った頃、トイレ休憩があった。トイレに並んでいると、二人連れの中国人の女の子たちが、たまたま目の前が空いたので、途中から割り込んだ形でトイレに入った。別に急いでなかったので気にもしていないでいると、後ろにいたイタリア系のお姉さんたちが、
「あなたが先だったのにね!!」とご立腹。
また別のおばちゃんが入ろうとしたので、お姉さんたちが「このセニョリータが先なのよ!」と言ってくれた。周りの人全員に「ありがとう」と言って、トイレに入ることになった。
休憩からしばらく山道を走って、途中、絵に描いたように可愛いアラホバという町を通った。ぎっしりと詰まったオレンジ屋根の家に、石畳の道。タイプは違うけど、サントリーニと張る可愛さかもしれない。
ここで、バスに乗るときに席を探すのを手伝ってくれたお兄さんが降りていった。この町はスキーができることで有名なんだとか。
スキーやってそうだなぁと思って後ろ姿を眺めていると、お兄さんが振り返って、私にパチリとウインクした。
カーーッチョイーー、そのウインク!
私もやってみたい! でも顔が濃くないとムリなウインクだ。
細い道を大型バスと大型トラックがすれ違う。「おぉー! メルセデスダンプ!」と喜んで写真を撮るも、その後に見るバスもダンプもなんでもかんでもベンツ製で、面白くなくなった。ヨーロッパでは頑丈さを求められる大型車にメルセデス・ベンツが多いみたい。


デルフィ到着
そんなこんなでバスは目的地・デルフィに着いた。
今日は朝から寒かったけれど、ここは山の上なので吹きつける風が死ぬほど冷たい。桜が咲き終わり、菜の花の匂いが町中にしているのに、この寒さ!
ひとまず宿を探すことにした。大通りを歩いていると、宿の前に立っていた客引きのおじさんと目が合った。せっかくなので部屋を見せてもらうことに。
ものすごく良い部屋だった。
ダブルルーム、バス・トイレ・朝食付きで35€だという。バス・トイレ共同ならどうかと聞くと30€。高いだのああだこうだと言っていると、朝食なしにして25€にしてくれるという。
ものすごく良い部屋が、あっという間に10€下がる。
そそれでも節約の鬼姫(友人が命名)たる私は、「寝るだけなんだぞ」と思って他を見てみることにした。結局、別のペンションで20€の部屋を見つけて、そこに決めた。
アテネじゃないんだし、もう一声欲しかったけどなぁ。
だけど後から猛烈に後悔。
今日は寒すぎる。
暖房のあるさっきの部屋にするんだった。


タベルナに初挑戦
それにしても田舎は良い。一眼レフカメラも気軽に出せる。聖なる山に囲まれたオレンジ色の町を探索しながら、写真を撮って回った。
それからお腹が空いたので、タベルナ(食堂)に初挑戦。オリーブオイルのスパゲッティとグリークサラダを注文した。
でも量が絶対一人前じゃない。フェタチーズがどーんと乗ったグリークサラダは、キュウリ、トマト、ピーマン、タマネギなどの野菜を、チーズとオリーブオイルと一緒に食べる。フェタチーズは塩辛いけど美味しい。(後で塩辛くないフェタに出会って、これにハマった)
スパゲッティは「ウソでしょ?」と思うほど太くて、アルデンテのアの字もない。さらに上からチーズ攻め。でも、これが案外いける。
量が半端じゃないので、どちらも半分くらいしか食べられなかったけど、とても美味しかった。全部で10.50€。贅沢した。
でも、たまにはマトモな食事を入れないと、病気したら元も子もないので良いことにした。
そそれからまたちょっと町の中を散策して、夕方、宿に戻った。寒すぎて耳当てが欲しい。
夜はさらに気温が下がり、大変なことに。
安宿だから当然暖房はないし、シャワーのお湯もぬるま湯程度。間違いなく風邪をひきそうな気がして、髪は洗わなかった。ドライヤー持ってないもの。
少ない服を4枚着込んで寝た。
伝統的なギリシャのベッドは、布団や毛布じゃなくてラグのようなものを掛けて寝るようになっているみたいで、まるで暖かくない。
4枚重ねてみたけど、重たいだけ……。


Location
■デルフィ Delphi

